【 不屈 】

Island Green.

台風が近付いているこの日。
我々は、ゴルフの社内コンペに参加者として集まっていた。

▼「やるの？」「今日は中止にしよう。」の声が高まる中、主催者より「コンペは延期・有志のみプレー可。」の発表があり、殆どのメンバーが帰る算段をし始めた。
寒いし、濡れちゃうし。
台風だから風も出てきて、危険だという見方もある。
おとなしく帰れば、無駄にするのは高速代だけだと、みんなが思った。
筆者自身はと言うと、逆に2-3年ぶりのプレーにやっとこモチベーションを上げてきただけに、雨風ごときでそう簡単には気持ちは萎まなかった。
別に濡れても構わないし、天候に左右されるような絶妙なタッチも持たない為、どちらかと言うと「やりましょう」派ではあったのだが、いかんせんメンバーの中では一番下っ端。
流れに身を任せようと構えていたら、意外な人から意外な声が上がった。 

　「やろうよ。せっかく来たんだし。」

・・・社長だった。

▼結局、約1/4のバカが残って(クルマが一緒の人は、半ば強請的に。)、誰もいないコースでの、ビショ濡れのプレーを、楽しんだ。
少なくとも、筆者は楽しかった。
スコアもアベレージ並。
課題も見えた。
更には、フェアウェイでの2打目か、3打目。7番アイアンとかで、

　「キタヤマは、綺麗なボールを打つなぁ。」

とか、言われただけでも、嬉しい。
一度も、正規に教育を受けた訳では無いし、2-3年のブランクがあった割には、上々の出来だった。
7番アイアンとは長い付き合いで、苦楽を供にし、今では互いに思いをぶつけられる、心の友だ。

▼ゴルフの絵(しかも、アクリル画！)を描いて、それなりに繁盛している、一族では変わり者のアリグサンダー。
彼の描く【ゴルファー達の不屈の精神】は、我々の心にも宿っていたに違いない。


* 神崎CC. 63/61で124